2019/06/16 16:48

独自の技法を発明し、素地のない漆だけの器を制作しています。(特許6239388号)

みなさん、漆は塗料としてしか使うことが出来ないと思っていませんか?
もちろん、それが常識でした。
木のお椀や重箱に漆を塗ったものが、漆器として一般的に知られています。

でも僕は漆を塗る職人なので、漆だけで器が作れないか考えました。
そこで思いついたのは、漆との相性が悪く密着しないものに漆を塗るという逆転の発想でした。
ガラスやプラスティックなど、漆が浸み込まないものに漆を塗っても剥離してしまうことは、漆を扱う者にとって常識です。

それを逆手にとって、漆が剥離してしまう材料を使って型を作り、そこに漆を塗り重ね一定の厚みが出来たところで、型から剥離するという技法を考案しました。

ただ、漆の1回の塗りの厚さは約0.05mmなので、1mmの厚さにするために20回以上漆を塗り重ねる必要があります。
また、漆は乾く(固まる)のに1日かかるので、20回塗り重ねるためには、最短でも20日間かけての作業です。

「漆だけの器なんてクシャッと壊れないの?」とよく聞かれます。
でも大丈夫です。
漆は天然樹脂。
塗った漆が硬化することを一般的には「漆が乾く」といいますが、決して水分が蒸発して「乾燥している」のではありません。

むしろその逆で、漆に湿気を与えることで、漆の成分が結合し硬化していくのです。
この結合力はとても強く、一度固まった漆は、水はもちろん、酸やアルカリにも溶けることはありません。

その強い漆が20層以上になっていますので、普通に使って頂いても強度的には大丈夫なのです。
もちろん、力任せに握りつぶせば破損してしいますが、それはガラスのコップも同じです。
むしろ、落とせば割れてしまう可能性が高いガラスコップより強度があると感じています。

薄くてしなやかな弾力を持つ、漆100%の器を楽しんでみませんか?

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